
- 「どうやって子どもを叱ったらいいんだろう」
- 「自分の叱り方はこれでいいのかな…」
- 「叱ってもまったく言うこと聞いてくれないけど、上手な叱り方ってあるの?」
子どもへの叱り方が悪いんじゃないかと悩んでいませんか

私も子どもの叱り方でよく悩みます
そんな時、一冊の本に出会いました
それが「どうせならもっと上手に叱ってくれない?」(吉村直記・著/出版・すばる舎)です
この本では佐賀の人気園の園長である吉村直記さんが、「子ども目線」による褒め方と叱り方のコツを解説してくれています
この本による良い叱り方の定義はシンプル
それは「気づき」と「学び」があることです

私はこの本を読んで子どもにとって良い叱り方を学ぶことができました
この記事では、 「どうせならもっと上手に叱ってくれない?」 から子どもを上手に叱るための方法を紹介します
結論を先に言うと、上手な叱り方をするポイントは次の3つ
上手に叱るポイント
- 親の気持ちを伝える
- 子どもの状況を理解する
- 「叱る」の基本を「褒める」に変える
この記事を読むと子どもに親の気持ちが伝わる上手な叱り方を学ぶことができます

僧侶&チャイルドコーチングアドバイザーの資格をもつ私が、上手な叱り方について、詳しく解説していきます
【どうせならもっと上手に叱ってくれない?】紹介
書籍の概要

「どうせならもっと上手に叱ってくれない?」の内容はこちら
- 書籍の内容
- 1章 「子ども心」もわかってください
2章 褒める叱り方だって、あるんです
3章 注意しないで動いてもらう方法、あります
4章 自分で気づいてもらうのが一番です
5章 やる気を奪うか引き出すか、言葉一つです
6章 子どもたちから学んだ困ったときの「裏ワザ」17連発!
この記事では、書籍の中から特に褒める叱り方に注目して解説していきます
著者プロフィール
吉村直記(よしむら・なおき)
社会福祉法人みずものがたり理事・おへそグループ統括園長。公認心理師・保育士・幼稚園教諭・中学高等学校教諭。
1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に3人兄弟の真ん中として女手一つで育てられる。同じ時期に空手を始め、そこで出会った空手の師匠に多大なる影響を受ける。高校ではメキシコ合衆国へ1年間留学し、大学時代に乳幼児教育に興味を持ち、保育コンサルティング会社に入社。約1年半の間に50施設以上の保育園設立や運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。
2010年に保育園設立を検討していた佐賀の地元企業の社長と出会い、その教育への思いに共感。地元に戻り、2011年25歳で認可外保育所「おへそ保育園」園長に就任する。その後認可化し、現在はハンディキャップを持った子どもたちも含め、園庭を共有する形で0歳から12歳までの子どもたちが共に過ごしている。
開園当初より取り組んでいる「国際理解教育」が評価され、2015年JICAグローバル教育コンクールにて最高賞である理事長賞を受賞。子ども向けの「哲学対話」を日本で初めて保育に導入するなど、保育内容においても評価されている。
現在、小規模保育所「おへそ保育園」・幼保連携型認定こども園「おへそこども園」・企業主導型保育所「おへそつながり」・児童発達支援施設「おへそこども学園」・放課後学童クラブ「おへそ学道場」計5事業を統括する園長として働くかたわら、空手指導・執筆・講演活動の他に、一男一女の父として子育てにも奮闘中。
本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです
著者の吉村直記さんは、公認心理師の資格を有しながら、佐賀で入園待ち多数の人気園の園長として活躍されています
書籍では、心理学×現場の知恵からうまれた上手な叱り方のコツを解説しています
この記事では書籍の中から特に褒める叱り方に焦点を当て解説しますが、本書からはまだまだたくさんのことが学べます
興味がある方はぜひ手にとって読んでみてください
なんで叱るの?
書籍の中では、項目ごとに、普段子どもが感じている気持ちを表現してくれています
拝啓。お母さま、お父さま。どうしてぼくらはこんなに「叱られる」んですか?
「どうせならもっと上手に叱ってくれない? 」より
最初の項目で示されるのは「なんで叱られるの?」の子どもの疑問です
私たち親はどうして子どもを叱るのでしょうか
- 指示や命令をして言うことを聞かせるため
- 子どもたちを自分の思いどおりにするため
そうではないはずです

今一度子どもたちを叱る理由について考えてみましょう
「幸せに生きてほしい」という親の願い
「叱る」行為の心の底には子どもを愛するが故の不安や希望があるはずです
- 早く寝なさい
- → 睡眠不足で明日元気に過ごしてくれるか不安
- 歯磨きしなさい
- → 将来虫歯になってほしくないな
つまり、「叱る」という行為の根底には「子どもに幸せに生きてほしい」という願いがあるのです
子どもを「叱る」ということ自体は目的ではありません
子どもの叱りかたに悩んでいるのであれば、子どものことを思う本当の気持ちをもう一度思い出してみましょう
チェックポイント
子どものことを叱るは、子どものことが大好きだから!

自分自身に問いかけ、自分の気持ちを見つめなおしてみましょう
叱る前に子どもの気持ちを想像してみよう
子どもが何か行動をするとき、そこには子どもなりの事情があります
どんなことでも気持ちに共感されず頭ごなしに注意されてしまっては、親の注意を聞こうにも聞けません
まずは子どもがどんな状況かよく観察する必要があります
そこで、子どもを叱る前に子どもがどんな気持ちで行動しているのか考えてみましょう

子どもの事情に寄り添いながら一緒に考えてみましょう
子どもの事情
- 楽しそう
- 意欲であふれている
- ただ親のマネをしている
楽しそう
- 子どもの事情
- 困らせたいわけじゃなくて、「楽しそうだから」やってるだけなんだ。
子どもはときに親がびっくりするようなことをしだします
- スパゲッティで遊んじゃう
- スーパーで思いきり走っちゃう
- ソファでガンガン飛び跳ねちゃう

うちの子どもは何度言ってもベッドをトランポリンにしてる…
何度も繰り返されると、子どもの行動は「親を困らせるためにしてるんじゃないの」と感じてしまいます
しかしほとんどの場合、純粋に「楽しい」「おもしろい」と感じてやっているだけです
子どもは楽しむ天才です
子どもの行動を指摘する前に、子どもは今すごく楽しんでいると感じるようにしてください

子どもの行動の背景を理解するだけで親のイライラも軽減されますし、単に注意するよりも聞き入れてもらいやすくなりますよ
チェックポイント
注意する前に、今楽しんでいる子どもの背景を見てから言葉がけをする
意欲であふれている
- 子どもの事情
- 「イヤだ」も「ほしい」も「やりたい」もわがままを言ってるつもりじゃないんだ。
言うことを聞かない子どもは、「自分でやりたいこと」「決めたいこと」があるという意欲を持った子どもと考ええることができます
この意欲を自己主張と捉えるかわがままと捉えるかは、実は大人が判断しています
- 自己主張
- 自分がしたいことや言いたいことを相手に伝えること
- わがまま
- 相手の嫌がっていることや社会的に許されないことも押し進めていくこと
子どもにとってはすべて自己主張でわがままを言っているつもりはないのです
自己主張として自分の気持ちを一生懸命伝えているのです

大人の都合で子どもの自己主張も「わがまま」と捉えてしまっているかもしれません
チェックポイント
子どもの主張は意欲の表れ。新しいことを提案してきたと思い、まずは話を聴く姿勢を大切に!
ただ親のマネをしている
- 子どもの事情
- 何を言われるかよりも大人が何をしているかを見て覚えるよ。……こっそりね。。
子どもは「そんなこと教えていないのに」ということでもいつの間にか覚えていて大人を驚かせます
実は子どもは大人の言動を見聞きしながらマネをして学んでいるのです
人のマネをすることは心理学でも提唱されています
それがカナダ出身の心理学者でスタンフォード大学の教授であるアルバート・バンデューラによって確立されたモデリング理論です
- モデリング理論
- 人は自身の体験だけでなく、他者との行動を観察・模倣することでも学習する
バンデューラの「モデリング理論」の中でも一番有名なものに「ボボ人形の実験」があります
この実験では、子どもの背丈くらいある大きなビニール製の、起き上がりこぼし人形(ボボ人形)が使われています
- ボボ人形の実験
- 3~6歳の子どもを被験者として3グループに分け、おもちゃ部屋にいる大人が、それぞれ違った方法でボボ人形と遊んでいる様子を観察
- グループA
- 大 人:木槌でボボ人形を叩きながら遊ぶ
子ども:木槌でボボ人形を叩きながら遊ぶ - グループB
- 大 人:愛情をもってボボ人形に接しながら遊ぶ
子ども:攻撃性の伴わない遊び方 - グループC
- 大 人:ボボ人形を激しく罵倒しながら遊ぶ
子ども:木槌でボボ人形を叩くことはなかったものの、攻撃的に遊ぶ
「ボボ人形の実験」 により、グループAの子どもの多くは、木槌でボボ人形を叩いて遊び、グループCの子どもは、木槌でボボ人形を叩くことはなかったものの、攻撃的な遊びをしたという結果が出ました
A・Cに対し、グループBでは、攻撃性の伴わない遊び方となりました
子どもたちは、自分で経験していないことでも大人の行動を観察することによって「学習」することが証明されたのです
この実験結果からもわかるように、子どもたちは大人の行動が良いか悪いかの判断をしないまま、ただ大人のマネをしてしまいます
どんなふうに叱るかを考える前に、自分の行動が子どもに与える影響の大きさを自覚する必要があります

子どもの言動を鏡に自分の行動を見直さないといけませんね
チェックポイント
子どもの姿は親の姿
良い叱り方=上手な褒め方
ここまで子どもを叱る理由や、その時の子どもの気持ちに焦点を当て解説してきました
「叱る」というと怒鳴ったり厳しく注意するイメージが一般的ですが、著者は「褒める」も「叱る」の一種だと述べています
そこでここからは、「上手な叱り方=褒め方」について解説していきます
「叱る」の基本は「褒める」
著者は「叱る」の基本は「褒めること」だと定義しています
「叱る」という言葉からはどうしても今できていないところを指摘することを思い浮かべてしまいます
しかし、子育てにおいては「できていないところ」よりも「できているところ」に注目して褒めていくほうが効果があります
発達心理学者のエリザベス・ハーロックは、1925年に「やる気」について実験を行いました
ハーロック博士は、子どもたちを3つのグループに分けて計算テストをさせました
そして、答案を返す際の教師の態度を以下のように分類しました
- グループ分け
- 点数に関わらず、できたところを褒める「称賛グループ」
点数に関わらず、できていないところを叱る「叱責グループ」
点数に関わらず、何も言わない「放任グループ」 - 「称賛グループ」
- 70%の子どもの成績が上がった
- 「叱責グループ」
- 20%の子どもは成績の向上が見られたものの、成績が上がったのは最初だけでそのあと失速
- 「放任グループ」
- 5パーセントの子どもの成績が上がった
この実験からもわかるように、できていることを褒められることでモチベーションにつながることは明らかです

子どもの「できていないところ」ではなく、「できていること」をよく見てあげたいですね
子どもの才能や長所を伸ばす褒め方
ここからは「叱る」の基本、褒め方のコツについて解説していきます
著者がおススメする褒め方は次の5つ
5つの褒め方
- イイトコ褒め
- オドロキ褒め
- プロセス褒め
- カンシャ褒め
- シツモン褒め

それぞれについて解説していきます
イイトコ褒め
「褒める」は子どもの良いところを見つけることから始まります
このときに大事にしたいことは、本人が持っている力を見つけて認めてあげることです
本人の才能の原石を磨いていくようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません
このときに大事にしたいことは、自分の長所や魅力を意識できるような言葉がけです
- 言葉がけ例
- 「友達にやさしくする力を持っているね」
「おもしろいことを言って周りを喜ばす力を持っているね」
「一つのことをやり抜く力を持っているね」
このように「~の力を持っているね」と伝えることで、子ども自身が自分の長所や魅力を意識し、その通りに自分を伸ばそうとします

子どもの才能の原石を見つけていきましょう
オドロキ褒め
自分の感情をストレートに伝える方法がオドロキ褒めです
著者は「おっ!」「ひょえー」と褒め言葉の頭に付けるだけで、喜びや悲しみ、驚きや感動などの感情をそのまま伝えることができるといいます
極めつけは「教えて!」と続けることです
親は子どもに教える側だと認識してしまいがちですが、子どもから教わることもたくさんあります
「教えて!」と声をかけることで親子であっても対等な関係性であるとお互いに認識できます

個人を尊重した声掛けを意識していきましょう
プロセス褒め
褒めるというとどうしても子どもが出した結果を褒めがちです
しかし、結果ではなく、結果までの努力の過程に注目して褒めるのがプロセス褒めです
結果や能力を褒めると、子どもたちにはかえって逆効果だという実験結果もあります
コロンビア大学の心理学者ミュラーとドゥエックが約400人の小学生を対象にした「褒め方」に関する実験を行いました
2人の実験でわかったことは、子どもの能力や頭の良さを褒めると、子どもたちは意欲を失い、成績が低下するということです
下手な褒め方はかえって逆効果になる可能性があるということを示しています

結果までの子どもの様子を観察し、努力の過程を見てあげたいですね
カンシャ褒め
自分の喜びを相手に伝えるのがカンシャ褒めです
感謝の気持ちが伝わると、自分の行動で喜んでもらえたと嬉しくなり、子どもにとっては大きなモチベーションになります
しかしここで注意したいことは、感謝に対し過剰なご褒美を子どもたちに与えることです
本来は親切心から協力したことも、過剰なご褒美を与えられると、次からはご褒美自体が目的になってしまいます
子どもがお手伝いや親切な行動など、他の人が困っていることに協力したときは、大げさに褒めたりご褒美を与えたりする必要はありません

「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるだけで大丈夫ですよ
シツモン褒め
褒めながら質問するのがシツモン褒めです
「どうやったらそんなふうにできるの?」と質問することで子どもの自信が増します
質問することで、子どもの言葉を引き出したり、子ども自身も自分の得意を認識したり、自分の行動の過程を振り返ることができます
他の人から頼られることで大きな喜びを感じ自信を持つことができます

子どもを頼って、自信を引き出してあげましょう
まとめ|子育ての一番いい方法は子ども自身が教えてくれる
この記事では、子どもが言うことを聞いてくれなかったり、厳しく注意してしまったとき、自分の叱り方が悪いんじゃないかと悩んでいる方に向けて、上手な叱り方のコツについて解説してきました
参考にした書籍は「どうせならもっと上手に叱ってくれない?」(吉村直記・著/出版・すばる舎)です
この書籍の中からわかる子どもを上手に叱るコツは次の3つ
上手に叱るポイント
- 親の気持ちを伝える
- 子どもの状況を理解する
- 「叱る」の基本を「褒める」に変える
「叱る」という行為の心の底には、「子どもに幸せに生きてほしい」という願いがあります
子どもに親の気持ちが伝えることが「叱る」ことです
叱りたくなる場面に遭遇したら、まずは、子どもの事情を理解することで親の気持ちを伝えやすくなります
子どもの事情
- 楽しそう
- 意欲であふれている
- ただ親のマネをしている
子どもの事情を理解すれば、あとは親の気持ちをストレートに伝えるだけです
そのためにも、「叱る」の基本を「褒める」とすることで親の気持ちを素直に伝えることができます
上手に褒めるコツは次の5つ
5つの褒め方
- イイトコ褒め
- オドロキ褒め
- プロセス褒め
- カンシャ褒め
- シツモン褒め
5つの褒め方を意識し、できているところに目を向けることで、子どもはどんどん自信をつけていくことができます
子どもはみんなそれぞれに個性や長所を持っています
子育てをするうえで大事にしたいのが、「どうすればその個性や長所が一番輝くか」という視点です

親の希望を押し付けるのんじゃなくて、子どもの良いところを伸ばしていきたいですね
子どもの興味のあることや反応、普段の様子など、目の前の子どもをよく観察することが、親にとっても大切な学びになります
子どもにとって一番良い子育て方法は、子ども自身が教えてくれます
子どもに自分の気持ちを伝え、 より良い行動に気づいてもらうためにも、「できていないところ」を指摘するのではなく、「できているところ」に目を向けて、子どもの才能や長所を伸ばす叱り方を実践していきましょう

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!