夫婦で教育方針が違い、悩んでいます
現在小学生の娘に対し、妻は「学校の授業と宿題だけでは勉強量が少なすぎるため、もっと家庭で勉強する習慣をつけさせたい」と言っています
私は、「勉強も大事だけど、親が言うから勉強しているのでは意味がない」と思っています
特に、娘は絵を描くことが好きで、親の想像を超えた絵を披露してくれることもあるので、得意なことを伸ばすことができるようサポートしたいと思っています
子どもに対して夫婦で教育方針が違うのはよくないと聞いてから、より一層悩むことが多くなりました
【30代男性・2児の父親】
みなさんは「夫婦で教育方針が違う」と悩んでいませんか
これは、娘が小学校に進学してすぐに妻と教育方針の違いで悩んでいた私の話です
夫婦で教育方針が違うと、両親で言うことが違うから子どもが混乱したり、離婚の原因になったりするからよくないといった情報を目にすることもあります
しかし、夫婦で教育方針が違っても問題ないことがわかりました
教育方針が違うからこそのメリットもあります
それは、教育方針が違うことにより、子どもの教育に対する選択肢が増えるからです
教育方針が違うことは、子どもの選択肢を広げるというメリットに気付いてから、夫婦の教育方針の違いに悩むことはなくなりました
この記事では、教育方針が違うことによるメリットについて解説します
この記事を読むと、夫婦の教育方針の違いで悩むことがなくなります
結論は、相手の方針に共感し、子どもの選択肢を広げてあげることです
それだけで、教育方針の違いで悩むことがなくなります
この記事でわかること
- 夫婦で教育方針が違ってもいい理由
- 夫婦の教育方針が違う時の対処法
教育方針が違うときの考え方について一緒に学んでいきましょう
夫婦で教育方針が違っても良い理由
夫婦で教育方針が違うと、両親の言うことが違って子どもが混乱するからよくないって思っていませんか?
教育方針の違い=子どもにとってのデメリットだと思っている人も多いです
しかし、夫婦の教育方針の違いは、子どもにとってのメリットになります
それは、選択肢を増やし、子どもの可能性を広げることができるからです
教育方針の違いが子どもにとってメリットとなる理由について解説していきます
教育方針とは
はじめに、教育方針について確認をしておきます
教育方針とは、子どもにどう育ってほしいかを示した方向性のことです
教育方針を決めるメリット
- どんな子どもに育ってもらいたいのかを考えるきっかけになる
- 教育や習い事の判断基準になる
- 家族で考えを共有することができる
このメリットは主に親の視点から得られるものです
つまり、教育方針とは、子どもが自分でどのような道に進みたいかといった方向性を示したものではなく、親として、子どもの成長をどのようにしてサポートしていくかといった方向性を示したものだといえます
家庭の教育方針については、別の記事で詳しく解説しています
家庭の教育方針についての記事はこちら
教育方針を決めて子どもの自立を促そう!教育方針の違いは選択肢の数になる
教育方針は、親の数だけ存在します
数が増えれば増えるほど、子どもにとってはメリットにもなります
それは、教育方針の違いで選択の幅が広がるからです
大人でも、子どもでも、人生は選択の連続です
- 朝、すぐに起きるか、もうちょっとだけ寝るかどうか
- 朝ごはんに何を食べるか
- 何を着て学校に行くか
朝の時間だけでも選択する機会は数多くあります
さらに、子どもの習い事や進路、受験、就職など、人生において選択する機会は山のようにあります
ケンブリッジ大学のBarbara Sahakian教授の研究によると、人は1日最大3万5,000回の決断をしているそうです
3万5,000回といわれても現実味があきませんが、日ごろ、無意識に多くの決断を下しているということがわかります
そして、私たちは、良い選択をしたときのことよりも、良くない選択をしたときのことのほうが記憶に残っています
だからこそ、私たちは親になると、自分の子に「より良い選択をしてほしい」と願い、自分が経験してきた価値観に基づき、子どもへ選択肢を与えようとします
それが教育方針になります
しかし、最終的に数ある選択肢の中から選択していくのは子ども自身です
それは親ではありません
そのため、夫婦で教育方針が違うということは、その数だけ、子どもに幅広い選択肢の中から自分の好きな道を選択することを提案することができるのです
親の役割は、子どもの成長をどのようにしてサポートしていくかです
幅広い選択肢を与えてあげることも、親の役割です
教育方針の違いは、子どもに幅広い選択肢を与えてあげることができるという点で大きなメリットとなります
教育方針は違って当然
そもそも、夫婦で教育方針が違うのは当然です
夫婦である以上、
- 価値観を合わせないといけない
- 夫婦で同じ時間を過ごしているから考え方も同じようになる
とついつい思いがちです
しかし、子どもの頃から育ってきた環境が違う者同士が結婚し、夫婦となっている以上、教育方針に限らず、夫婦で考え方が違うのは当たり前のことです
つまり、親の数だけ教育方針が存在するということです
よくある教育方針の違い
ここで、夫婦でよくある教育方針の違いについて見ていきましょう
- よくある教育方針の違い
- 習い事
進路
デジタル機器との付き合い方
①習い事
子どもが成長してくると、意見の違いが出てくるのが子どもの習い事です
ニフティ株式会社が小中学生を中心とした子どもたち2,674人を対象に実施した「習い事」に関するアンケート調査によると、約9割の子どもが習い事をしていると回答し、習い事の数は「2つ」が最も多いという結果が出ています
また、習い事では「学習塾・くもん」「ピアノ」「英会話」「習字」「水泳」が上位にランクインしています
子どもたちの多くが習い事をしていることから、次のような場面が想像できます
- どのような習い事を選ぶのか
- どのくらいの数の習い事を習わせるのか
このような場面での夫婦の意見の違いから、教育方針の違いにつながってきます
②進路
習い事と同様に、将来への考え方に意見の違いが出てくるのが子どもの進路です
特に、義務教育である小学校や中学校を受験させるかどうかで教育方針の違いが表れてきます
受験は、質の高い教育環境で子どもを学ばせたいというメリットがある一方、学費や受験にかかる費用が高額になるというデメリットもあります
- 自分が受けた教育に自信を持っている
- 自分が進めなかった道を子どもには歩ませたい
夫婦それぞれに様々な思いを抱いており、自分自身が受けてきた教育による考え方の違いが、教育方針の違いにつながってきます
③デジタル機器との付き合い方
ゲームやスマートフォンなどのデジタル機器との付き合い方にも考え方の違いが出てきます
株式会社アスマークが、全国20~50代の男女(3歳~小学生の子どもと同居、同居子どもがゲームで遊んでいる)を対象に実施した「ゲームと子供に関するアンケート調査」によると、父親と母親でゲームに対する意識に差があるとの結果が出ています
調査結果によると、母親よりも父親のほうが子どもと一緒にゲームをすることが多く、ゲームを通してコミュニケーションを図っている一方、母親は楽しいだけのゲームにネガティブな印象を持っているという結果が表れています
調査結果からも、父親と母親でゲームに対する考え方が違うように、ゲームやスマートフォンをはじめとするデジタル機器とどのように付き合っていくかという考え方の違いが、教育方針の違いにつながってきます
ここまで見てきた教育方針の違いはあくまでも一例です。親の数だけ考え方があるため、夫婦でも教育方針に違いがあるのは当然です!
一水四見(いっすいしけん)
仏教の物の見方の1つに「一水四見(いっすいしけん)」という言葉があります
- 一水四見(いっすいしけん)
- 同じものでも見る立場や心のもちようによって、全く違ったものとして見えてくるということをあらわしている言葉です
同じ水でも見方によっては四通りに見えるということを、「天人」「人間」「魚」「餓鬼」の立場から例えられています
ここでいう「餓鬼」とは、餓鬼道という常に飢えと渇きに苦しんでいる世界にいる者のことで、水を欲しがるものの、水を飲もうとするたび、水が濃い血膿となって飲むことができず苦しんでいる姿を表しています
一水四見
- 「天人」には水がきれいに透き通ってガラスのように見える
- 「人間」である私たちには、そのままの水に見える
- 「魚」たちには住み家と見える
- 「餓鬼」には燃えた血膿に見える
このように、「天人」「人間」「魚」「餓鬼」という異なる立場で「水」を見た場合、同じ「水」でもそれぞれ見方が異なります
私たちは、みんな生まれ育った環境、受けた教育、経験したこと、考えてきたこと、興味を持ったことなどさまざまで、その人それぞれに価値観があります
その価値観が、何かを判断するとき一つの判断材料となり、いろいろな事を決断しています
「子どもをどのように育てるか」といった親にとってはとても大きな判断が必要になる場面で、自身の経験や価値観で方向性を示すことは当然のことです
つまり、夫婦で教育方針が違ってくるのは当然であるという認識を持つことが大切です
教育方針が違う時の対処法
ここまで夫婦で教育方針が違うことのメリットについて解説してきました
教育方針に違いがあることは当然で、違いがあるからこそ、子どもに幅広い選択肢を与えることができると解説してきましたが、実際には、相手の考え方を理解し、意見がぶつからないようにすることはとても難しいです
特に教育方針の違いでよくある「習い事」「進路」「デジタル機器との付き合い方」等を例に見てみると、夫婦どちらかの方針が優位になってくることが多くなります
そうなれば、方針を取り入れることができなかった親は、面白くなく、積極的に協力しないことも出てきて、結果、取り入れた方針でうまくいかなくなると、相手を非難してしまう可能性もでてきます
そうなる前に、夫婦で必要になる対処法がコミュニケーションをとることです
そこで大切になってくるポイントが「共感」です
「アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本」(熊野英一・著/出版・株式会社小学館)によると、相手の目で見て、相手の耳で聞いて、相手の心で感じることが「共感」であり、つねに、自分から共感を示すことを「共感ファースト」と言うようです
コミュニケーションにおいても、この「共感ファースト」がとても重要です
ここでは、コミュニケーションで大事にしたい「共感」をテーマに解説していきます
「アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本」 については、別の記事で詳しく解説しています
家族を笑顔にしたいパパのための記事はこちら
家族を笑顔にしたいパパのための本コミュニケーションのポイント
- 聞くこと
- ありのまま受け止めること
コミュニケーションのポイント
ポイント①:聞くこと
相手の気持ちに共感するための1つ目のポイントは「聞くこと」です
教育方針に限らず、意見の違いがあったときに必要になってくるのがコミュニケーションをとることです
コミュニケーションといっても、ただ話し合いの時間を多く持てばいいわけではありません
私たちは、話すことがコミュニケーションだというイメージを持ってしまいがちですが、コミュニケーションの基本は「聞くこと」です
【子どもの「やりたい」を引き出すコーチング】(あべまさい・著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)によると、コミュニケーションとは、まず「聞くこと」を意味し、聞くという行為を「相手の心の隣に行く」と表現しています
私たちは、ついつい、自分の価値観で話しを聞き、相手の話を聞いたつもりになっていることが多いですが、それでは、相手が本当に聞いてもらったことにはなりません
- 「聞く」ということ
- 相手の話を最初から最後まで聞く
相手の言おうとしていることをそのとおりに理解しようとする
「聞く」ということに聞き手の価値観を通してはいけません
自分の体と気持ちを相手の心の隣に派遣して聞くことが、「聞く」という行為だということです
この自分の価値観・先入観をはさまずに聞くという行為が、相手の気持ちに共感する一つ目のポイントです
ポイント②:ありのまま受け止めること
2つ目のポイントは「ありのままを受け止めること」です
コーチングでは、「ありのままを受け止める」ということをペーシングと呼び、相手の言うことや気持ちが自分にとっては都合の悪いものであったとしても、できるだけの忍耐と思いやりを動員してしっかりと受け止めることだと述べています
相手の大切にしている世界や価値観を自分自身も大切にすることが、 ありのままを受け止め、相手の気持ちに共感するための大切なポイントです
コーチングについては、別の記事でも解説しています
コーチングについての記事はこちら
子どものやる気を引き出す接し方コミュニケーションのとり方
ここまで、コミュニケーションで大切な「共感」のポイントについて解説してきました
夫婦で教育方針に違いが生まれたとき、どのようにコミュニケーションをとって対処をしていくかを考えていきましょう
コミュニケーションのとり方
- 相手の教育方針についてしっかりと聞く
- 相手の教育方針をしっかり受け止める
- 子どもにとって何が一番大切かを夫婦で考える
まずは、相手の教育方針についてしっかりと聞きましょう
このとき、自分の考えを挟んだり、意見を述べてはいけません
相手の話を最後までしっかりと聞き、相手の言おうとしていることをそのまま理解しようとしてください
相手の方針が自分の方針と正反対であっても、相手の大切にしている世界や価値観を大切にして、そのまま受け止めてください
お互いの教育方針の違いが、子どもにとって大きな可能性になります
それぞれの教育方針の考え方を大切にできたとき、「子どもにとって何が一番よいのか」を二人で考えてください
相手の教育方針を聞かずに、相手の考え方を受け止める手順を踏まなければ、夫婦で意見がぶつかったままです
相手の教育方針を聞き、考え方を受け止めて、初めて夫婦で子どもにとって何が一番大切かを話し合うことができるのではないでしょうか
そして、この方法で決めた教育方針は、どちらか一方の考え方をとりいれた教育方針ではなく、子どもにとって何が一番大切かを夫婦で考えた教育方針なので、お互いが納得し、成功する可能性も高くなります
少なくとも、夫婦のトラブルに子どもを巻き込むことがなくなります
夫婦で教育方針に違いが生まれたとき、相手の気持ちに共感し、コミュニケーションをとることを心がけましょう
まとめ
今回の記事では、夫婦で子どもの教育方針が違うと悩んでいる方に向けて、教育方針が違ってもいい理由と、違うときの対処法についてについて解説してきました
この記事の内容
- 夫婦で教育方針が違ってもいい理由
- 夫婦の教育方針が違う時の対処法
教育方針が違っても、子どもにとって選択肢が増えるというメリットがあります
そして、教育方針が違う場合の対処法は、夫婦間でしっかりとコミュニケーションをとることです
夫婦で教育方針が違うのは当然で、教育方針の違いが子どもにとっての選択肢の幅になるため、子どもの可能性が広がります
そのためにも、相手の教育方針に共感し、子どもにとって何が一番大切かを夫婦でしっかりとコミュニケーションをとっていくことが大切です
親の都合に合わせるのではなく、子ども自身で選択した道を歩んでいくことをサポートするために、夫婦で教育方針を考えていきましょう
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!